つれづれなるがままに

つれづれなるがままにひぐらし。すずりにむかいてこころにうつりゆくよしなしごとをそこはかとなくかきつくれば、あやしうことものぐるおしけれ。

10分創作#2【黒猫の誘惑】

黒猫の誘惑

 

吐息が聞こえる

安らかに寝てんなぁ、おい

お腹が上がって、下がって

一定の間隔できちんと呼吸している様がきちんと目に取れる

スピー。スピー。スピー。

なんとなしなんだが、見とれてしまう

スピー。スピー。スピー。

ちょっとちょっかいかけたら起きるかなだなんていたずら心

人差し指がウズウズしてしまう

いやいや、この寝ている時が天使なのですよ

もうちょっとこのまま見とれていましょう

相反する心が二つ

結局、差し出した右手は触れることはなく、頬を支える柱になった

あぁあぁ、なんだって、今なんだろね

今ならちょっと遊んであげられるのに

残念だね、まぁでもなんだか幸せそうだから、見ていて飽きないよ

どんな夢を見ているんだい

なぁ、なんでそんなに嬉しそうなんだい

規則正しく繰り返されるスピーを何度聞いたか忘れた頃

僕もふわぁーと大きくあくびした

なんだい、君、夢に誘っているのかい

うんうん。まぁ急ぎの仕事もないし、まあいいか

君に誘われ夢の中へ

きっといい夢に連れて行ってくれるんだろう

ならば誘惑に乗ってみるのも悪くはない