10分創作 #5「美しい毛並み」
美しい毛並み
ご主人様が僕を撫でて言う
「美しい毛並みね、ほんと」
響きだけで意味はわからないけど
なんだかとっても誇らしい
なぜって
ご主人様が本当に嬉しそうにその言葉を口にするからだ
ご主人は泣いていても笑っていても、僕を撫でた後はじんわり笑顔になる
だから、撫でてもらう前に
僕もきっちり身繕いする
汚れてないかちゃんとチェックするし
ちょっと嫌いな味のご飯もちゃんと食べる
なんだか知らないけどそれを食べた時の方が
僕の毛、舐め心地が良くなるのである
舐め心地がいいときはご主人様の笑顔もひとしおなのだ
さぁ、準備万端。
今日の気分はどうですか、ご主人
「うん、今日も綺麗」
うん、あなたのその顔が見たくて
僕は日々頑張っているんだよ
だからちゃんと見ていてね
飽きずにまた明日もその言葉を聞かせてね
そして、僕に触って、元気になってね